長野県松本市に移住した金子健一さんと、山形県鶴岡市にUターンしたマツーラユタカさんからなるフードユニット「つむぎや」さんによる連載「スープ往復書簡」。
金子さんが住む長野県松本市から山形県鶴岡市のマツーラさんへ。山形県鶴岡市に住むマツーラさんから長野県松本市の金子さんへ旬の食材や地のものを贈り合いながら、それぞれのアイデアをプラスしてつくる新しいスープ。お互いに食材や土地への想いを綴り、気持ちが伝わるお手紙のようなコラムも必読の、こころあたたまるコーナーです。
今回は、4月の特集にあわせてパンに合うスープを考えていただきました!レシピにある食材をつくっている、ご縁のあるつくりてさんや食材の特徴などもご紹介。食を通して人と人をつなぐ、つむぎやさんのやさしさが伝わるスープを作ってみませんか。
長野県松本市▷▷▷山形県鶴岡市 マツーラさんへの贈りもの
松本と鶴岡のキャッチボールスープ企画の第7回目。
山形の海側、庄内地方の真ん中に位置する、鶴岡もこのところやっと春らしい日差しが! 冬の間、日本海側の北国は1ヶ月の中で晴れる日がほとんどないグレイスカイな土地。春が来ると寝室にも朝日も差し込んできて、ようやく新しい季節が来たなぁと喜びもひとしお。
そんなわけで、今回は春の訪れを楽しむブレックファーストな気分。ちょうど自分のやっている「manoma」というカフェ&セレクトショップでは、3月にエアルームプロダクツというシャツのブランドの展示会を開催し、その中でも朝ごはんイベントを開催したのでした。
その時につくったのが、エアルームプロダクツの代表のカモクニマサさんの思い出の朝ごはん。ロンドンで暮らしているときに食べたベイクドビーンズ。「ベイクド」と言いつつ、焼いてなくて、甘い豆のトマト煮込みで、パンや目玉焼きやソーセージなんかと一緒によく出てきたそう。ベイクドビーンズは白いんげん豆でつくることが多いのだけど、ちょうど金子さんから、安曇野のバジルクラブの鈴木さんが育てた小倉大豆という貴重な在来大豆を送ってもらったので、それを使ってつくることに。
小倉大豆は豆の甘みが力強く、固めに戻してあげると、プリっとした歯応えもあって、煮豆として極上の素材。とてもおいしい豆のトマト煮込みスープとなりました。甘めのトマト味は意外性あって、パンにあわせて食べるとクセになる味。きっとロンドンで食べるベイクドビーンズは、もうちょっとジャンクな味だろうなぁと想像しながら楽しみました。
マツーラユタカ より
グッドモーニング&グッドブレッド
ベイクドビーンズ
<材料> (3〜4人分)
・大豆 (インゲン豆の水煮などでも) 200g 戻した量約 400g
〈煮込みトマトスープ〉
・玉ねぎ 1/2個
・オリーブオイル 大さじ2
・カットトマト缶 1缶(400g)
・砂糖 大さじ6
・赤ワインビネガー 大さじ2
・はちみつ 大さじ2
・塩麹 大さじ2
・粒マスタード 大さじ2
・塩 小さじ1
・水 100ml
・ローリエ 2枚
<下準備>
・玉ねぎはみじん切りにする。
・大豆は一晩水につけて戻す。当日作りたいときは、厚手の鍋にたっぷりのお湯を沸かして、沸騰したら火を消し、豆を入れて、そのまま1〜2時間浸水させる。豆が戻ったらザルにあげて水気をきる。
豆を戻すときは一晩水に浸水させるのが理想ですが、そのタイミングがないときは、ホーローの鋳物鍋など重めの鍋にお湯を沸かして蓋をして1〜2時間放っておくと、お豆が戻ります。豆を戻す時間がない時に知っておくと便利な知識。気軽につくるなら白インゲン豆やヒヨコ豆の水煮缶を利用してもOK。
<作り方>
①鍋にオリーブオイルをひき、中火にして玉ねぎを透き通るぐらいまで炒める。
② 玉ねぎを炒めたら、煮込みトマトスープの材料をすべて入れ、ひと煮立ちさせる。沸いてきたところで弱火にして、豆を入れて煮込んでいく。
③最初の20〜30分くらいはフタをして煮込み、たまにフタをあけて、混ぜながらコトコトと。その後はフタをとって、好みのとろみや豆の硬さになるまで10分ほど煮込む。うつわに盛り付けて、完成!
イギリスのベイクドビーンズをイメージして、レシピは砂糖とはちみつを多めにして甘さ強さにしていますが、お好みで砂糖を減らして、少し塩気を足すようなバランスで作ってもおいしいです。パンにのせれるぐらいに汁気を飛ばして煮込んでもおいしいし、分量より水を増やしてよりスープっぽく仕上げるのもアリ。その時の気分で楽しんでください。
●バジルクラブの小倉大豆
安曇野で農薬や化学肥料を使用せずに大切に育てられたバジルクラブの小倉大豆。貴重な信州安曇野の在来種です。小倉大豆は甘みもうまみも濃厚な品種。豆腐や味噌、煮豆にしてもおいしいです。
松本で金子さんがやってるお店「Alps gohan」では、バジルクラブの鈴木さんのお米を使っています。合鴨農法で育てられている鈴木さんの田んぼは、合鴨のヒナたちが泳ぎ回り、根を突っつくことで稲の分げつが進み、虫を食べてくれるので農薬を使わずに丈夫な稲が育つんだそう。地元小学校と連携した食育のイベントも積極的に開催するなど、作り手と食べ手を繋ぐ活動も積極的に行なっています。
次回レシピのお届けは、4月20日(木)!
鶴岡市のマツーラさんから松本市の金子さんへ食材を贈り、
パンと相性の良いスープレシピをつくっていただきます。
(レシピと文・つむぎや マツーラユタカ )
○Alps gohan
○manoma
○つむぎや
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