top of page

【スープ往復書簡】「七夕白ささぎと鶏肉のシチュー」

「つむぎや」さんによる美味しい連載。

今回は、鶴岡市に住むマツーラさんから松本市の金子さんへ、春の地野菜を贈って、

特集にぴったりのお子さまが野菜を好きになれるスープレシピを考案いただきました。


また、スープに使う野菜を育てている、ご縁のある農家さんをご紹介。”食を通して人と人をつなぐ”つむぎやさんならではの、素材をいかしたスープを作ってみませんか。

 

山形県鶴岡市▷▷▷長野県松本市 金子さんへの贈りもの


今回マツーラくんから送られてきた山形の恵みは、山形県真室川で在来種の伝承野菜を中心に農作物を栽培している「工房ストロー」高橋伸一さんの七夕白ささぎ雪割菜(ゆきわりな)でした。どちらも山形の伝承野菜。以前、高橋さんからマツーラくんを通じて立派な勘次郎胡瓜を送っていただき、在来種の尊さ、その姿かたち、そして味わいは、今では松本でも夏の風物詩になっています。

 

今回は、こどもたちが喜びそうなスープということで、信州も山形も端境期の中、貴重な七夕白ささぎという白いお豆を使って、乳製品を使わないでとろみと甘み、食感も楽しめるシチューをつくりました。

なぜ乳製品を使わず、味つけもスパイスなど使わず、シンプルな塩ベースの味にしたかというと、高橋さんが届けてくれた食材がもつ味わいをいかしたいと思ったからです。また、とろみをつけるのに茹でた豆を半分つぶして煮ているところもポイントです。

春の訪れを教えてくれる雪割菜は、寒さに十分当たっているので、とくに太い茎部分のぎゅっとした甘さと旨みが印象的でした。ふつう筋っぽくなる茎ですが瑞々しく、そして甘いので、きっとこどもたちも喜んでくれると思いました。

 

スープの出汁はかつおと昆布の出汁。野菜と豆に鶏のひき肉を使うことで、こどもたちのテンションも上がります。ひき肉の良いところは、煮込まずに旨みと食感、食べ応えをプラスできるところです。

このシチューは多めにつくってスープとして楽しんだら、次の日は、ごはんやうどんなどに合わせてアレンジできるのも嬉しいですよね。


金子健一 より


 

こどもたちも喜ぶ食材の旨み、甘みたっぷり

七夕白ささぎと鶏肉のシチュー


<材料> (2〜3人分)七夕白ささぎ 200g(水で戻すと約380g)
※乾燥白いんげん豆でも代用可
・鶏ももひき肉 200g
・玉ねぎ 1個
・塩糀 大さじ2
・米油 大さじ1
・酒 50ml
・みりん 50ml
・出汁 800ml
・塩 小さじ1
・雪割菜 適量
※菜の花や小松菜でも代用可

<下準備>

玉ねぎは粗みじん切りに。

・雪割菜(菜の花や小松菜)は熱湯で茎を1分ほど湯がいてから葉を30秒ほど茹でて、ザルにあげて粗熱をとり、粗みじん切りにする。

大きめのボウルにたっぷりの水を注ぎ、七夕白ささぎ(乾燥白いんげん豆)を入れ、ひと晩(時間があれば2日間)水に漬けて戻す。


<作り方>

①鍋の七分目くらいまで水を注ぎ(分量外)、戻した七夕白ささぎを入れ、やわらかくなるまで30分ほど中火で煮る。熱湯が湧いてきたら火加減を少し弱める。アクが出てきたらおたまで取り除き、水が少なくなってきたらその都度足していく。


澄んだ味のスープにするためにも、途中であくが出たらこまめに取り除く、吹き上がってきたり、水分が少なくなってきたら差し水しながら煮込んでいきます。


② 鍋に油を熱し、鶏ももひき肉をこんがり焼き色がつくように炒める。

ひき肉は、焼き色をつけるまで焼きつけるようにしっかり焼くことで、うまみを閉じ込めます。あまり肉は動かさず、じっくり焼きつけていくとこんがりとした焼き色がつきます。


③ ①に玉ねぎを加えて炒め、玉ねぎがやわらかくなってきたら、塩糀、酒、みりんを加えて、汁気が少なくなるまで炒める。


④茹でた七夕白ささぎはザルで水気をきって、半分はボウルに入れてマッシャーなどでつぶす。もう半分は、つぶした豆と一緒に③の鍋に入れ、出汁を注いで弱火で10分ほど煮て、塩で味を調える。

豆を半分だけマッシャーで潰すことで、スープに豆のとろみをつけます。潰さない豆の方は、ほろほろとした食感を楽しんでいただけます。


⑤ うつわにスープを注ぎ、雪割菜を飾って完成!

 

スープづくりに使った、ご縁のあるつくり手さんをご紹介。


●山形県「工房ストロー」高橋伸一さんの七夕白ささぎと雪割菜

高橋さんは、山形県真室川の土地で在来種の伝承野菜も含め、多くの農作物を栽培しているだけでなく、藁を使った伝統的な藁細工にも取り組むなど、循環する「農」と「手仕事」を守り続けていきたいとがんばっている農家さんです。

今回使った「七夕白ささぎ」「雪割菜」も最上地方の伝承野菜。「七夕白ささぎ」は七夕の頃に種を蒔くのでこの名がついたとのこと。皮が薄くほろっとした食感でスープにぴったりでした。そして、春先すぐの雪解けから収穫できることから名前がついた「雪割菜」。春先の茎立ち菜は苦いものが多い中、とくに茎の部分が不思議なくらい甘く、お子さま向けのスープにもぴったりの食材でした。


(レシピと文・つむぎや 金子健一

 

次回のスープレシピのお届けは、〈9月9日(月)〉!
マツーラさんと金子さんで地元の食材を贈り合い、スープを作っていただきます。
お楽しみに★

○Alps gohan


○manoma


○つむぎや






bottom of page