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リレー連載最終話【おはなし、スープ-レシピ編-】鍋屋のクラムチャウダー

更新日:2023年11月13日

「白鯨」リレー連載の最終話は、

2回のコラムからインスピレーションを受け創作されたスープレシピが登場。

コラムを読んでからのほうがいっそう楽しめます!






〈材料〉(約4人分)
・玉ねぎ(大) 1個
・じゃがいも(大) 2個
・薄切りベーコン 100g
・オリーブオイル 大さじ2
・水 500ml
・塩 大さじ1/2
・牛乳 200ml
・ホンビノス貝 500g
・バター 20g
・クラッカー(カンパン) お好み
・イタリアンパセリ お好み

〈下準備〉

・玉ねぎは1センチ角、じゃがいもは2cm角のダイス状にカット。

・薄切りベーコンは、幅1cmほどにカットする。


〈作り方〉

①鍋にオリーブオイル、ベーコンを入れて弱火で炒める。

全体的にベーコンの色が変わったら玉ねぎ、じゃがいもを入れて、

玉ねぎが透き通るまで炒める。


②水と塩を加えて、沸騰させてから弱火にする。蓋をして約15分ほど煮込む。


③そこに牛乳とホンビノス貝を加える。蓋をして中火で約4分中火で煮込む。

仕上げにバターを鍋に入れて溶かし、足りなければ塩で味を整える。


④うつわに盛り付けて、クラッカーをお好みで乗せる。

仕上げにイタリアンパセリをパラパラと。




☞ポイント

再度温めるとき、じゃがいものでんぷん質が沈んで鍋底が焦げやすいので、

じっくり温めましょう。

できたても美味しいですが、次の日のクラムチャウダーは最高です!


\ Staff Voice /

「おはなし、スープ」初のリレー連載3部作はいかがでしたでしょうか。

中村店主から、選書は『白鯨』ですというメールが届き、木村さんとさわのさんへひとまずシェア。おふたりの反応がおどろくほど似ていました。

「とても長いお話ですね・・・」と。

かくいう私も、白鯨と聞いて課題書のようにひさびさに読書の長い旅が続くと確信。

そこからなんども読み返し、しばらく映画やドラマなどによそ見し、また読むという流れを約2ヶ月も繰り返しました。

それぞれの視点で綴られたコラムと、最後にさわのさんのクラムチャウダー。まず写真が目に入り「最高だな...さすがさわのさん」とつぶやきました。決して材料は多くないのに、きっと深みのあるひと皿なんだろうと想像。「ホンビノス貝」を使うところも憎いです!

ひとつ補足として、クラッカーを入れているのは船用のビスケット、つまりカンパン(甲板という連想も)からの発想だそうです。手に入りやすいクラッカーを使っています。

今回で、いつかこのおはなしシリーズとレシピが書籍化できたら...という野望がふつふつと湧いてきました。じっくり、コトコトと、3人の感性にふれてみてください。



白鯨

今回のお題はメルヴィルの『白鯨』からのクラムチャウダー。肝心なストーリーのあらすじなどは、中村さんと木村さんのコラムを読んでいただくとして、私は料理人目線からつらつらと書かせていただきます。


クラムチャウダー。日本でも大人気のクリームスープで、アメリカのボストン生まれ。

『白鯨』を読んだことのある方なら、わかると思うのですが、鍋屋の女将さんとイシュメイルとクィークェグとのやりとりが、私たち日本人にはハテナ?な描写かと思います。


“晩飯に蛤(クラム)ね? 冷たい蛤――そういうことですか、おかみさん? この冬場に冷たい貝のもてなしとは、少々冷たかないカイ、おかみさん?”


これを見て、彼らが何をイメージしたかおわかりでしょうか?

ボストンでは牡蠣と同じように蛤(今この文を書いてる時点は敢えてそう書きます)を“生で食べる”習慣があります。日本のお鮨屋さんでは帆立や赤貝などなど、握りやツマミで食べることがあっても、浅利や蛤は『煮浅利』『煮蛤』となって登場していると思います。(私がまだ食べたことがないだけかもしれませんが…)

なので、あの描写を読んで「蛤かね、鱈かね」と聞かれた彼らの返答を不思議に思ったなら、貴方はしっかり日本人。もし、あの描写を読んで生の蛤を想像したのなら、ボストンやその食文化に精通している方なのかもしれませんね。


それと面白いなと思ったのは、日本には貝は種類をしっかり分けて表記する文化があること。例えば英語のDuckと言うと『鴨』と『アヒル』どちらも指します。鴨をWild duckと指すこともありますが、どちらも同じDuck ですし、Gooseは『ガン』『ガチョウ』とこちらも同じように表記されます。


さて、今回はClamです。

基本的には二枚貝の貝のことを指しているようで、日本だったら浅利、蛤、きっとしじみもClamと表記されます。

今回ストーリーに出てくるのは『蛤』ですが、こちらはホンビノス貝という北米に生息する貝を使ったクラムチャウダーでは?と推測しました。最近はスーパーでも見かけるようになったホンビノス貝ですが、もともとは外来種で日本では20年前に発見されたとか。

生命力も高く、アサリのように砂抜きしなくて良いため、

洗ってすぐに調理することができる優れもの。

蛤よりも低価格で購入できるため、お財布にも優しいのです。


(文・さわのめぐみ)


HP // Instagram



次回のさわのめぐみさんの登場は10月の

「冒険、スープ」です!お楽しみに。



<まだまだ想像力を掻き立てたいあなたへ>


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