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Season.2【旅と世界とスープ】フランス イル・ド・レの魚のスープ

更新日:1月23日

細川亜衣さんによる【旅と世界とスープ】の第2回目は、フランスの島、イル・ド・レ(レ島)の旅の思い出の料理について、綴っていただきました。


trip.2


★旅の記憶

イル・ド・レに暮らすフランスの友を訪ねて、

7年前から毎夏バカンスを過ごすようになりました。

昨年までの数年間は旅ができない年が続きましたが、

今夏久しぶりに再訪することができました。


私にとって旅の一番の目的は、

どこを訪れるにしてもやはり”食べること”です。

ただ、最近では自分自身が旅先で食べるだけではなく、

現地で誰かのために料理をすることも増えました。


イル・ド・レでは毎日朝昼晩と友人と一緒に台所に立ちます。

彼女を手伝ったり、時には私が得意料理を作ったり。


互いに料理の仕事をしていることもありますが、

もともと感覚的に惹かれ合う部分も多いため、私は彼女の料理が好きで、

彼女は私の料理が好きで、フランスにいても日本にいてもたいていは

互いの家で食事をします。


『どこか食べに行きたい?』『ううん、ここが一番いい』そんな感じです。


自転車に乗って市場に出かけ、食材を買い、

かごにたくさん積み込んで家路については1日料理をして過ごす。

時には隣町の市場へ足を伸ばしたり、

島の端っこまで海辺をサイクリングしたこともありました。

ただそんな静かな日々を過ごすのが、私にとっての最高のバカンスなのです。


さて、今年の夏、私たちが訪れた頃、イル・ド・レはとても寒く、

軽いコートが着たくなるような冷たい風と雨の日々が続きました。

そのせいか、娘はからだを壊し、待ちに待った夏休みだというのに

部屋にこもって寝込んでしまいました。

もともと、日本の家にいる時からあたたかなスープや汁ものを好む娘は、

ヨーロッパの人々が夏場に食べるようなあまり温かさのない料理が

続いていたことに堪えていたようです。

私たち大人はワインをいただくので、生牡蠣やチーズ、マリネやサラダなどの

食事でも全く気にしていなかったのですが、、、。


そんな時間が流れ、

ふと娘がだるそうに『今日は温かなスープが食べたい」と言いました。


友人に「今日は温かいスープを作ってあげてもいい?』と聞くと、

「もちろんいいけれど、スープを食べたいならこれにしましょう。」と

出してきてくれたのが、魚のスープの瓶詰めでした。

「島の魚をいろいろ使っていてね、無添加だしなかなかおいしいのよ」


私は瓶詰めや缶詰など、できあいの料理を食べたり食卓に並べる習慣がないため、

一瞬戸惑いました。

でも、せっかく勧めてくれているのに断るのも失礼だと思い、試してみることにしました。


魚の絵のラベルが貼られた愛らしい瓶をよく振り、鍋に移して温めます。

ほのかに甲殻類やトマト、スパイスの匂いが立ち上ります。


寒そうにしている娘に、熱々のスープをこしらえてあげることができました。

「おいしい」

トマトやスパイスが好きな娘の口にも合ったようです。


スパイスは燻製のパプリカでしょうか。

瓶詰めとは思えない、おいしさと豊かな香りです。


その後、イル・ド・レからポルトガルのポルトへ飛び、

市場でさまざまなパプリカパウダーやチリパウダーを買いました。

私自身もですが、娘も夫も我が家はみな大の唐辛子好きなのです。


そうだ、家に帰ったらこのパプリカパウダーでイル・ド・レの魚のスープを作ってみよう。


私なりに作ってみた魚のスープは、現地で食べたものとは素材もレシピも異なります。

イル・ド・レとポルトで訪れた海、魚屋さん、市場、パン屋さん、チーズ屋さん、

塩田など、さまざまな旅の記憶が折り重なった一皿となりました。


1年を通して楽しめるレシピですので、みなさんもぜひ作ってみてください。


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★記憶のレシピ

「魚のスープ」


〈材料〉※約4人分
・白身魚(鯛、すずきなど) 200g
・玉ねぎ 中1個
・にんじん 中1個
・トマト 中1個
・にんにく 5g(小1かけ)
・田舎パン  40g
・トマトペースト 40g
・オリーブオイル 20g
・塩 適量
・水 800g

(仕上げ)
・田舎パン 4切れ
・セミハードチーズ 4切れ
・燻製パプリカ 少々
・ハラペーニョ酢 少々
・フルール・ド・セル 少々

〈作り方〉

①白身魚は塩をしておく。

②玉ねぎ、にんじん、トマト、にんにくは粗く刻む。

③田舎パンは適当な大きさに切る。

鍋を中火で温めてオリーブ油を引き、田舎パン、刻んだ野菜と白身魚を入れ、

塩をふって炒める。

④鍋底に張りつき、ほんのり色づいてきたらトマトペーストを加えてさらに炒める。

⑤水を加えて強火で煮る。

⑥あくを取り、中弱火で旨みが出るまで10分ほど煮る。

⑦ミキサーかブレンダーでなめらかにし、塩味を調える。

⑧鍋を中弱火にかけて混ぜながら煮立てる。

⑨田舎パンの薄切りをグリルやオーブンでかりっと焼き、仕上げにチーズをのせて

溶けるまで焼く。

⑩温めたうつわにスープを盛り、ハラペーニョ酢を回しかける。

チーズトーストをのせ、チリパウダーとフルール・ド・セルをふる。完成。




〈ポイント〉

★魚の種類は問いませんが、小骨があるものは丁寧に骨を取り除いてください。

甲殻類や貝類を入れてもおいしくできます。

★③ ④の工程では、野菜とパンを鍋底にはりつくくらいまでしっかりと炒めると、

旨味や香りが増します。


(文とレシピ・細川亜衣)



次回の「旅と世界とスープ」は2024年2月を

予定しています!お楽しみに。










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